多くの企業との共創により
高齢者の暮らしや介護にまつわる
お悩み/お困りごとを解決したい2023/03

今回の対談の参加者
Hatch Healthcare 井上奈緒子
がん事業部 部長/介護事業部 部長を兼任。金融機関、リクルートでの事業企画、医療介護連携ICTを展開するスタートアップを経て、2021年7月よりHatch Healthcareに参画。現在は「よりそうがん相談サポート」及び「くらしと介護サポート」の立ち上げ等に従事。
かんぽ生命 中村 瑞木
デジタルサービス推進部/リテールサービス部 企画役を兼任。電子機器メーカー、コンサルティング会社での製品/事業開発及びFC チェーンの立ち上げと展開を担当。かんぽ生命では、保険金支払部門で、主に新システムの導入を担当したのち、2018年4月よりデジタルサービス推進部に従事。現在は「くらしと介護サポート」の立ち上げに関わる。
本プログラムの背景
全国津々浦々に顧客を抱える2つの企業。
まずは、両社の取り組みについて教えてください。
井上
アフラックは、「がんに苦しむ人々を経済的苦難から救いたい」という日米両国の強い想いのもと、1974年に日本で初めてがん保険を提供する保険会社として創業しました。全国8,073店の販売代理店や業務提携先を通じて、保有契約件数No.1であるがん保険と医療保険をはじめとした「生きるための保険」を提供しています。また、お客様の「生きる」をより広く支えるため、保険以外のサービスも総合的に提供する「生きる」を創るエコシステムを構築し、様々なステークホルダーと連携/協業することを目指しています。
また、私の所属しているHatch Healthcareでは、アフラックの抱える多くのお客様をはじめ「がん」や「介護」領域で悩みや不安を抱える方に寄り添い、一人ひとりに合った解決策を提案するコンシェルジュ型サービスや、Webセカンドオピニオンやスクリーニング検査など、新たな選択肢となるサービスの開発に力を入れています。
また、私の所属しているHatch Healthcareでは、アフラックの抱える多くのお客様をはじめ「がん」や「介護」領域で悩みや不安を抱える方に寄り添い、一人ひとりに合った解決策を提案するコンシェルジュ型サービスや、Webセカンドオピニオンやスクリーニング検査など、新たな選択肢となるサービスの開発に力を入れています。
中村
かんぽ生命は、1916年に逓信省として簡易生命保険事業を創業し、2007年の郵政民営化を経て、2022年で創業106年を迎えます。全国に広がる郵便局ネットワークとかんぽ生命の拠点(20,015の郵便局、478の簡易郵便局、82のかんぽ生命支店)を通じて、2,105万人のお客様に養老保険と終身保険を中心とした簡易で小口な商品と各種サービスを提供しています。誰もが手軽に健康づくりに取り組める健康応援アプリ「すこやかんぽ」や、各種手続きができるご契約者さま専用サイト「マイページ」などデジタルチャネルを通じたサービスも提供しています。
『見つける』『届ける』『解決する』をどうつなげることができるか。
本プログラムは、どのような内容なのでしょうか。
中村
本プログラムでは、スタートアップのサービス/技術とかんぽ生命・アフラックの経営資源を掛け合わせた協業の実現を目指しています。協業を通じて、スタートアップの成長と、かんぽ生命・アフラックのお客様への提供価値の向上を実現していくことを視野に入れて2022年3月より第1期が始動しました。
井上
アフラック及び、Hatch Healthcareは、「がん」領域で先行してコンシェルジュサービスを提供しています。さらに現在、がんの学びを生かして、かんぽ生命とともに全国津々浦々のシニア世代とその家族の方の暮らしを支えるサービスを開発しています。本プログラムでは、これらのサービスでの協業先となるスタートアップも積極的に採択しているため、参加いただくスタートアップの皆さまに、協業や共同事業の機会を速やかに提供することが可能です。
中村
スタートアップの皆さんのサービスを知ると本当に素晴らしいものが多い、しかしながらそのサービスが不安や課題を持っている方に届いておりません。
当社やアフラックが持っている全国のネットワークや拠点、要員を活用することで、不安や課題を持っている方を『見つける』、そしてその方に有益なサービスを『届ける』ことができるのではないか?そうすれば多くの不安や課題を『解決する』ことができると感じます。
スタートアップの皆さんが持っている『解決する』アイデアやノウハウと我々の『見つける』と『届ける』を組み合わせることで「介護」という大きな社会課題の解決に一緒に取り組みたいと思います。
当社やアフラックが持っている全国のネットワークや拠点、要員を活用することで、不安や課題を持っている方を『見つける』、そしてその方に有益なサービスを『届ける』ことができるのではないか?そうすれば多くの不安や課題を『解決する』ことができると感じます。
スタートアップの皆さんが持っている『解決する』アイデアやノウハウと我々の『見つける』と『届ける』を組み合わせることで「介護」という大きな社会課題の解決に一緒に取り組みたいと思います。

本プログラムにどのような想いを持って参加していますか?
井上
今回のテーマである「介護」という領域で言えば、とても幅広いユーザー像を想定しています。例えば、すでに介護を受けている高齢者の方、介護を必要としていないが1日でも長く自分らしく暮らしたい高齢者の方、同居のご家族、離れて暮らしているご家族など。スタートアップの方々との協業により、これらの方々に幅広く、多くの人の悩みや困りごとを解決できればと考えています。
中村
その悩みや困りごとは、単なる医療的なアプローチで解決できるものばかりではありません。「社会とのつながりがなくなっていく」「認知症をどう捉えていけばよいのか分からない」「年をとってもおしゃれや食事をこれまで通り自分らしく楽しみたい」などなど。高齢者だから介護状態だからと区別するのではなく、また助けるとか、支えるといった一方通行的な手段に固執するのではなく、自分達も社会/地域の一人として本プログラムを通じて一緒に豊かで幸せな暮らしを創っていければと感じています。
大切なのは、ビジョンを共有し続けられること。
さて、本プログラムの第1期で採択したスタートアップとの協業の取り組みが進行している最中ですが、今のところ手応えはいかがですか?

井上
2022年7月にスタートした第1期では、応募数は80社を超え、予想を超える数のスタートアップの方々がこのプログラムに注目してくれていることがわかりました。多くのスタートアップの取り組みや考え方に触れられるのは大きな刺激になりましたよね。実際に7社を共同採択し、かんぽ生命とアフラックの在宅介護にかかる課題の解決を目的とした「くらしと介護サポート」での協業を目指して検討を進めております。6社の採択企業とサービス提供の開始を予定しています。
中村
第1期を通じて、どのスタートアップもより多くの人が豊かに生き生き暮らしていく未来を叶えるために奮闘していることがわかり、シンプルに嬉しかったです。採択の際に注目していたのは、やはり「想い」の部分。社会課題に取り組むのは大きな責任も伴いますから、真摯に課題に向き合い、一緒に考え、動いてくれる企業であることはとても重要だと感じました。
井上
そうですね、社会課題は一定継続的に粘り強く取り組むことで解決の糸口が見つかる部分もあると思います。継続的に、生活者視点での真摯なサービスづくりを行っていく姿勢の企業さんとご一緒できると嬉しいです。私たちも同じように継続的なサービス提供を目指していきます。
中村
もちろんやっていく中で新しい課題も見つかりますから。そんな時にこそ、各社の専門分野を混ぜ合わせて、さらに新しいこと/ものづくりにつなげていけたらと思います。
フィールドを問わず、多様なスタートアップを待っている。
これからの本プログラムや、スタートアップにどのようなことを期待していますか?
中村
仕事の中で、地域を訪問して現地の方とコミュケーションをとる機会があるのですが「あなたたちが挑戦していること、考えていることを全部教えてほしい、一緒にやりましょう」と言われることがあります。私たちが目指しているのは、いわゆる単純な収益の拡大ではなくて、全国の人々と一緒に幸せで豊かな暮らしを創ること。失敗も成功も含めて、この取り組みで得ることができた知見は、独占することなくしっかり社会/地域に還元していきたいと思います。
井上
今回の「介護」という領域は、地域によって高齢化の状況や資源が異なるという点でも、様々なアプローチが考えられますね。なるべく多くのまち、地域、生活圏の方々に受け入れられるものを作る必要があると感じています。いずれは、地域をつないで、それぞれの知見を活かし合えるサービスを展開できたら素敵ですね。
中村
一つの課題に対して一つの解を作りだすというよりも、現状をより良く、人々をより幸せに、より豊かにしていくことを目指したいですよね。超高齢社会に突入していく日本の未来を見据え、社会の変化、価値観の多様化にも適応できる取り組みを生み出せたらと思います。
最後に、本記事を読んでいるスタートアップの皆さんへメッセージをお願いします!
井上
一見すると、私達がスタートアップを「審査」して「採択」するという構造に思われるかもしれません。そうではなく、私たちはお互いに期待し合える関係性を目指せたらと思っています。私たちは「全国の人々を幸せにする」ことを叶えるために、これからどんどん新しいチャレンジをしていきたいと考えています。どのフィールドにも大きな可能性があると思いますので、たくさんの企業の方からの応募をお待ちしています!
中村
本プログラムでは、スタートアップの注力したいポイントやこだわりもしっかり尊重していければと考えています。特定の企業と協業するのを嫌厭される気持ちもあるかと思いますが、共に歩むことで、事業の可能性を広げ、多くの人の幸せのお手伝いができるはず。少しでも興味を持っていただけたら、ぜひお話しをして、どんなことが実現できそうか、私たち自身を判断してもらえたらと思います!
対談は以上となります。お二人ともありがとうございました!